教室
水面を波打たせながら泳ぐ一人の少女。 綺麗なフォームのクロールで、プールの端から端へ一直線に進んでいく。 手足はかなり早く動いているのに、弾ける飛沫はとても小さい。 ここからではそもそも聞こえないが、おそらく水音も小さいのだろう。 手の平で、足裏で、しっかりと水を捉えている、素人
■ Part. 1: 人間社会の違和感 教室の窓から差し込む午後の陽光が、玲奈の机に斜めに落ちている。数学の教科書に向けられた彼女の視線は、実は何も捉えていなかった。まだらに白と黒が混じった手の甲を、玲奈はぼんやりと眺める。 「玲奈ー、今日の放課後、カラオケ行かない?」 「ごめん